Hemophilia Aによる乳児脳内血腫の1例

最近我々が経験したHemophilia Aによる乳児の脳内出血の1治験例について報告した. 症例は生後5ヵ月の男児. 嘔吐, 哺乳力低下, 呼吸障害を主訴として収容された. 血液像では出血時間の延長と活性プロトロンビン時間の延長がみられた. またCT scanで右前頭葉内に大きな血腫がみられ, 脳血管撮影では血腫によるmass effect以外は脳動静脈奇形や脳動脈瘤たどの脳血管異常はみられなかった. 凝固因子の検索がなされないまま, 母親の新鮮血を用いて右前頭開頭を行い, 血腫を顕微鏡下に一塊として全摘出した. 術後の凝固因子の検査により, 第8因子が1%以下の重症型血友病Aと判明した. 術...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; pp. 219 - 220
Main Authors 井料宰, 正島和人, 林隆士, 山本正士, 田中地平, 福住明夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:最近我々が経験したHemophilia Aによる乳児の脳内出血の1治験例について報告した. 症例は生後5ヵ月の男児. 嘔吐, 哺乳力低下, 呼吸障害を主訴として収容された. 血液像では出血時間の延長と活性プロトロンビン時間の延長がみられた. またCT scanで右前頭葉内に大きな血腫がみられ, 脳血管撮影では血腫によるmass effect以外は脳動静脈奇形や脳動脈瘤たどの脳血管異常はみられなかった. 凝固因子の検索がなされないまま, 母親の新鮮血を用いて右前頭開頭を行い, 血腫を顕微鏡下に一塊として全摘出した. 術後の凝固因子の検査により, 第8因子が1%以下の重症型血友病Aと判明した. 術後経過は良好で, 術前にみられた意識障害, 左運動不全麻痺は軽快し, 入院後28日目に退院した.
ISSN:0470-8105