クモ膜下出血患者の心電図所見

CT上クモ膜下出血と診断した154例の心電図で, 頻脈, 徐脈, QTc延長, 左室肥大, ST上昇・下降, T波逆転, 巨大T波の各所見について, (1)入院時Grade, (2)退院時ADL, (3)脳動脈瘤破裂部位, (4)CT上のクモ膜下凝血の範囲, によって検討した. 結果は, 頻脈16%, 徐脈18%, QTc延長46%, T波逆転22%で, (1)頻脈とST下降はGradeの悪い症例で多かったが, 他の所見はGradeと無関係であった. (2)ADLによっては所見に差はなかった. (3)頻脈は動脈瘤破裂部位による差は全くなく, 徐脈はA com, ACAで, QTc延長は左のIC...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 209
Main Authors 上家和子, 弗川哲二, 田口治義, 矢野隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:CT上クモ膜下出血と診断した154例の心電図で, 頻脈, 徐脈, QTc延長, 左室肥大, ST上昇・下降, T波逆転, 巨大T波の各所見について, (1)入院時Grade, (2)退院時ADL, (3)脳動脈瘤破裂部位, (4)CT上のクモ膜下凝血の範囲, によって検討した. 結果は, 頻脈16%, 徐脈18%, QTc延長46%, T波逆転22%で, (1)頻脈とST下降はGradeの悪い症例で多かったが, 他の所見はGradeと無関係であった. (2)ADLによっては所見に差はなかった. (3)頻脈は動脈瘤破裂部位による差は全くなく, 徐脈はA com, ACAで, QTc延長は左のIC, MCAで, T波逆転は右のIC, MCAで多かった. (4)クモ膜下凝血が広範なほど各所見は高頻度であった. 臨床上, 心筋梗塞との鑑別が問題となるが, 心電図のみでは困難な場合, 血清酵素の測定やUCGが必要となる. また, 脳血管攣縮期の徐脈は攣縮の増悪因子となるため, 積極的な対応が必要で, 我々は一次ペーシングが有効と考え実施している.
ISSN:0470-8105