運動領野の巨大AVMの1全摘例

脳動静脈奇形の治療は, 塞栓術, 放射線照射などの進歩が目ざましいが, これらは補助的治療の域を出ておらず, 全摘術が治療の中心である. しかし, 手術適応はいまだ明確でない. その判断基準としては, 出血の有無, 病巣の部位・大きさ, 神経学的症状の有無などが挙げられる. 最近我々は, 右運動野の巨大AVM 1例を経験した. 症例は42歳男性で, 薬物でcontrol不良なepilepsyのみがあり, 血管写上右前頭葉傍正部に7×4.5cmのAVMがあり, 右callosomarginal MCのopercular branchを主feederとしていた. 我々はこれを全摘し, 何らdefi...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 207
Main Authors 阿武雄一, 沼田秀治, 高見政美, 堀智勝, 斎藤義一, 川上伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:脳動静脈奇形の治療は, 塞栓術, 放射線照射などの進歩が目ざましいが, これらは補助的治療の域を出ておらず, 全摘術が治療の中心である. しかし, 手術適応はいまだ明確でない. その判断基準としては, 出血の有無, 病巣の部位・大きさ, 神経学的症状の有無などが挙げられる. 最近我々は, 右運動野の巨大AVM 1例を経験した. 症例は42歳男性で, 薬物でcontrol不良なepilepsyのみがあり, 血管写上右前頭葉傍正部に7×4.5cmのAVMがあり, 右callosomarginal MCのopercular branchを主feederとしていた. 我々はこれを全摘し, 何らdeficitをきたさなかった. 文献的にも, functional areaの巨大AVMも全摘術が可能であり, しかも出血によるdeficitをきたす以前に手術することは有用であると思われるが, 巨大で境界不鮮明なAVMの場合, 更にspetzlerのnormal perfusion pressure breakthrough現象など, 問題点は多いと思われる.
ISSN:0470-8105