Detachable balloon catheter法による外傷性CCFの1治験例

近時, 内頸動脈海綿静脈洞瘻(以下CCFと略す)に対する治療法として, Serbinenko, Debrunらによって開発されたdetachable balloon catheterを用いる方法が注目を集めているが, この方法は, 特に外傷性CCFに対して成功率が高いようである. 症例は18歳の男性で, 1982年6月21日, 交通事故にて受傷, 同日後頭蓋窩開頭術を受けた. 術後経過は良好であったが, 受傷後4ヵ月目より右眼球結膜の充血, 拍動性突出, bruitが認められ, 右頸動脈写にて外傷性CCFと診断した. 11月18日, 自家改良を加えたDebrun型detachable ball...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 195
Main Authors 三宅一, 岡田雅博, 蔭山武文, 増田勉, 松本圭蔵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:近時, 内頸動脈海綿静脈洞瘻(以下CCFと略す)に対する治療法として, Serbinenko, Debrunらによって開発されたdetachable balloon catheterを用いる方法が注目を集めているが, この方法は, 特に外傷性CCFに対して成功率が高いようである. 症例は18歳の男性で, 1982年6月21日, 交通事故にて受傷, 同日後頭蓋窩開頭術を受けた. 術後経過は良好であったが, 受傷後4ヵ月目より右眼球結膜の充血, 拍動性突出, bruitが認められ, 右頸動脈写にて外傷性CCFと診断した. 11月18日, 自家改良を加えたDebrun型detachable balloon catheterを用い瘻孔の閉塞術を施行, 内頸動脈の血流を温存して瘻孔を完全に閉塞することに成功した. また留置balloonは造影剤のみ注入した. これにより術後3週目頃よりballoonの縮小をみ, 術後合併症の海綿静脈洞症候群は消失した. 術後4ヵ月を経て, 自他覚的に再発の徴候は全く認められない.
ISSN:0470-8105