頭蓋骨原発性悪性リンパ腫の1例

悪性リンパ腫と総称されるリンパ網内系腫瘍は, リンパ組織をはじめ, 全身種々な部位に発生することが知られている. 神経系にあっては脳内原発腫瘍として, あるいは転移性髄膜浸潤として発症する. 一方, 骨格系にあっては報告例が散見される程度で, 特に頭蓋での発生は極めてまれである. 症例は56歳女性. 急速に増大する正中前頭部腫瘤で発症. 前頭骨の単発性骨破壊性腫瘍は, 頭皮下腫瘤として外方に突出し, 一方内方では硬膜と密に癒着していた. 摘出組織標本から中型細胞性びまん型悪性リンパ腫と確定診断され, 術後放射線照射を行った. 以降2年間局所再発や他臓器病変もなく経過しており, 原発性腫瘍と考え...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 178
Main Authors 佐藤慎一, 中尾哲, 伴貞彦, 難波晃, 福光太郎, 山本豊城, 尾形誠宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:悪性リンパ腫と総称されるリンパ網内系腫瘍は, リンパ組織をはじめ, 全身種々な部位に発生することが知られている. 神経系にあっては脳内原発腫瘍として, あるいは転移性髄膜浸潤として発症する. 一方, 骨格系にあっては報告例が散見される程度で, 特に頭蓋での発生は極めてまれである. 症例は56歳女性. 急速に増大する正中前頭部腫瘤で発症. 前頭骨の単発性骨破壊性腫瘍は, 頭皮下腫瘤として外方に突出し, 一方内方では硬膜と密に癒着していた. 摘出組織標本から中型細胞性びまん型悪性リンパ腫と確定診断され, 術後放射線照射を行った. 以降2年間局所再発や他臓器病変もなく経過しており, 原発性腫瘍と考えられた.
ISSN:0470-8105