鼻腔内骨腫を伴った成長ホルモン分泌性下垂体腺腫の経蝶形骨洞手術例

左鼻腔をほぼ充満する骨腫を伴った成長ホルモン分泌性下垂体腺腫の経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術例を経験したので報告した. 症例は59歳女性. 若年時より左鼻閉を自覚し, 慢性副鼻腔炎を指摘されていた. 約10年前より末端肥大症様顔貌に気づき, その後, 高血圧症, 糖尿病, 左鼻腔内骨腫を指摘され他院にて治療を受けていた. 血清GH値は20ないし60μg/mlと高値であり, トルコ鞍は拡大を示し, 成長ホルモン分泌性下垂体腺腫と診断された. 経蝶形骨洞手術の目的で当院に入院した. 左鼻腔内骨腫は前後径約4cm, 左右及び上下径はそれぞれ約3cmであり, 蝶形骨洞左半部, 右篩骨洞後半部及び左鼻腔上後...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 175
Main Authors 永谷雅昭, 本崎孝彦, 大西丘倫, 森信太郎, 有田憲生, 斉藤洋一, 早川徹, 最上平太郎, 吉峰俊樹, 丸野元彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:左鼻腔をほぼ充満する骨腫を伴った成長ホルモン分泌性下垂体腺腫の経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術例を経験したので報告した. 症例は59歳女性. 若年時より左鼻閉を自覚し, 慢性副鼻腔炎を指摘されていた. 約10年前より末端肥大症様顔貌に気づき, その後, 高血圧症, 糖尿病, 左鼻腔内骨腫を指摘され他院にて治療を受けていた. 血清GH値は20ないし60μg/mlと高値であり, トルコ鞍は拡大を示し, 成長ホルモン分泌性下垂体腺腫と診断された. 経蝶形骨洞手術の目的で当院に入院した. 左鼻腔内骨腫は前後径約4cm, 左右及び上下径はそれぞれ約3cmであり, 蝶形骨洞左半部, 右篩骨洞後半部及び左鼻腔上後部を占めていた. 1983年8月8日, 骨腫摘出術及び経蝶形骨洞腺腫摘出術を一期的に施行した. 術後, 血清GH値は正常化し, 高血圧, 糖尿病の治療は必要としなくなった.
ISSN:0470-8105