急性肺水腫を合併した破裂脳動脈瘤の1治験例

急性肺水腫を合併した破裂脳動脈瘤に対して, 発病当日に直達手術を施行し良好な結果を得た1例を報告した. 症例は42歳女性. クモ膜下出血にて発症し, 意識は傾眠で, 2時間後の胸部レ線は著明なsnow stormを呈し, 両側全肺野に湿性ラ音を聴取した. CTにて右帯状回よりの脳室穿破を, 両側内頸動脈写にて前交通動脈分岐部と右前大脳動脈末梢部(破裂)に計2個の動脈瘤を認めた. 直ちに肺水腫に対する治療を開始し, 淡紅色, 泡沫状喀痰の減少, 血液ガス分析の改善を待って, 発症10時間後に, 両側前頭開頭にてclippingを施行した. 術後, PEEP 5cmH_2 Oをかけた容量呼吸器にて...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 171
Main Authors 藪本充雄, 岩本宗久, 兵谷源八, 栗山剛, 中村吉昭, 木下達之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:急性肺水腫を合併した破裂脳動脈瘤に対して, 発病当日に直達手術を施行し良好な結果を得た1例を報告した. 症例は42歳女性. クモ膜下出血にて発症し, 意識は傾眠で, 2時間後の胸部レ線は著明なsnow stormを呈し, 両側全肺野に湿性ラ音を聴取した. CTにて右帯状回よりの脳室穿破を, 両側内頸動脈写にて前交通動脈分岐部と右前大脳動脈末梢部(破裂)に計2個の動脈瘤を認めた. 直ちに肺水腫に対する治療を開始し, 淡紅色, 泡沫状喀痰の減少, 血液ガス分析の改善を待って, 発症10時間後に, 両側前頭開頭にてclippingを施行した. 術後, PEEP 5cmH_2 Oをかけた容量呼吸器にて呼吸管理を行い, 2日後意識清明となり, 3日後にはweaning可能となった. 以上, 重症肺水腫合併例に対してその早期診断と呼吸管理により, 急性期直達手術が可能であった.
ISSN:0470-8105