同一動脈系に併存した脳動静脈奇形と脳動脈瘤の3例

脳動静脈奇形に脳動脈瘤が合併することは必ずしもまれではなく, 今までにも報告が散見されるが, その発生機序, 出血源の判別, 治療方針などに関して問題の多いところである. ことに両者が同一血管の支配領域に発生している場合には, 血行力学的に無関係な血管に発生している症例に比べて手術的治療にあたって一層慎重な対応が要求される. 我々はこのような症例を3例経験し, うち2例には動静脈奇形の全摘と動脈瘤のclippingないし摘出を1 stageで施行し, また他の1例では動脈瘤のclippingを施行し良好な結果が得られた. これら3例の経験から, 脳動静脈奇形と脳動脈瘤の合併例における臨床上の問...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 152
Main Authors 岩永秀昭, 鎌田喜太郎, 乾松司, 高橋徳, 田中祥弘, 切石礼次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:脳動静脈奇形に脳動脈瘤が合併することは必ずしもまれではなく, 今までにも報告が散見されるが, その発生機序, 出血源の判別, 治療方針などに関して問題の多いところである. ことに両者が同一血管の支配領域に発生している場合には, 血行力学的に無関係な血管に発生している症例に比べて手術的治療にあたって一層慎重な対応が要求される. 我々はこのような症例を3例経験し, うち2例には動静脈奇形の全摘と動脈瘤のclippingないし摘出を1 stageで施行し, また他の1例では動脈瘤のclippingを施行し良好な結果が得られた. これら3例の経験から, 脳動静脈奇形と脳動脈瘤の合併例における臨床上の問題点について, 主として外科的治療を計画する上での留意点を中心に文献的考察を加えて報告した.
ISSN:0470-8105