石灰化を伴った幼児静脈性血管腫の1例

脳血管奇形のうち, 静脈性血管腫は比較的まれな疾患であり, 更に幼小児では極めてまれである. 最近我々は, CT scan, 脳血管撮影で経過を追跡し得た幼児の静脈性血管腫の症例を経験したので報告した. 症例は2歳7ヵ月男児. 生後10ヵ月時に痙攣発作出現し, 以降抗痙攣剤の投与を受けていた. 1歳3ヵ月時に当科初診. CT scanにて, 右側頭部に低吸収域を伴う石灰化巣を認めた. 脳血管撮影ではdiffuse blushと, 一本の太い導出静脈を認めた. その後経過観察中であったが, 2歳5ヵ月時に歩行障害出現し, 再入院となった. CT scanにて石灰化の進行をみた. 脳血管撮影ではd...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 136
Main Authors 北林正宏, 石黒修三, 木村明, 宗本滋, 若松弘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:脳血管奇形のうち, 静脈性血管腫は比較的まれな疾患であり, 更に幼小児では極めてまれである. 最近我々は, CT scan, 脳血管撮影で経過を追跡し得た幼児の静脈性血管腫の症例を経験したので報告した. 症例は2歳7ヵ月男児. 生後10ヵ月時に痙攣発作出現し, 以降抗痙攣剤の投与を受けていた. 1歳3ヵ月時に当科初診. CT scanにて, 右側頭部に低吸収域を伴う石灰化巣を認めた. 脳血管撮影ではdiffuse blushと, 一本の太い導出静脈を認めた. その後経過観察中であったが, 2歳5ヵ月時に歩行障害出現し, 再入院となった. CT scanにて石灰化の進行をみた. 脳血管撮影ではdiffuse blushは消失し, 導出静脈も狭小化を認めた. 手術施行し, 摘出標本にて石灰化を伴う静脈性血管腫と診断した. 術後経過良好で, 神経学的脱落症状を残さず退院. 経過観察中である.
ISSN:0470-8105