尾状核頭部からの脳出血

尾状核頭部高血圧性脳出血6例を経験した. その臨床像とCT所見を検討した. 症例の内訳は男5例, 女1例で, 年齢は31歳から61歳で, 平均46歳であった. 脳動脈瘤の手術後に起こった小出血の1例以外は全例脳室穿破を伴っていた. 脳室穿破を伴った5例は, 局所症状の乏しいクモ膜下出血と類似の発症をした. この5例中, 初回のCTで尾状核頭部からの出血と診断し得たのは1例のみで, 他の4例は経時的CTにおいて, 1)尾状核頭部近くの前角に血腫が残存すること, 2)尾状核頭部に低吸収域が残ることから, 尾状核頭部からの出血と診断できた. 1例でexplorationを行った以外に何ら外科的処置を...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 110
Main Authors 藤本清成, 和賀志郎, 坂倉正, 清水健夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:尾状核頭部高血圧性脳出血6例を経験した. その臨床像とCT所見を検討した. 症例の内訳は男5例, 女1例で, 年齢は31歳から61歳で, 平均46歳であった. 脳動脈瘤の手術後に起こった小出血の1例以外は全例脳室穿破を伴っていた. 脳室穿破を伴った5例は, 局所症状の乏しいクモ膜下出血と類似の発症をした. この5例中, 初回のCTで尾状核頭部からの出血と診断し得たのは1例のみで, 他の4例は経時的CTにおいて, 1)尾状核頭部近くの前角に血腫が残存すること, 2)尾状核頭部に低吸収域が残ることから, 尾状核頭部からの出血と診断できた. 1例でexplorationを行った以外に何ら外科的処置を必要とせず, 6例とも生命・機能予後は良好であった.
ISSN:0470-8105