多血症による脳梗塞の1例

真性多血症によると思われる脳梗塞の症例を報告した. 症例は36歳男性. 突然の頭痛と左片麻痺で発症し, 次第に意識レベルが低下した. 発症時, 白血球15, 500, 赤血球653万, Hb22.8g/dl, Ht67.0%, 血小板14.8万. CTで右前頭葉, 頭頂葉に広範な出血性梗塞, 右頸動脈造影で内頸動脈内に陰影欠損像, 中大脳動脈の閉塞が認められた. 出血性梗塞の増悪と心肥大による負担が考えられ, 外減圧はせず. 瀉血を5回で1, 000ml, aspirin, dipyridamole, busulfan投与を行った. 片麻痺は残存したが, 意識, 血算値, 頭蓋内圧モニター上で...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 109
Main Authors 浅井英彰, 稲尾意秀, 佐生勝義, 古瀬和寛, 原田資, 大島紀玖夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:真性多血症によると思われる脳梗塞の症例を報告した. 症例は36歳男性. 突然の頭痛と左片麻痺で発症し, 次第に意識レベルが低下した. 発症時, 白血球15, 500, 赤血球653万, Hb22.8g/dl, Ht67.0%, 血小板14.8万. CTで右前頭葉, 頭頂葉に広範な出血性梗塞, 右頸動脈造影で内頸動脈内に陰影欠損像, 中大脳動脈の閉塞が認められた. 出血性梗塞の増悪と心肥大による負担が考えられ, 外減圧はせず. 瀉血を5回で1, 000ml, aspirin, dipyridamole, busulfan投与を行った. 片麻痺は残存したが, 意識, 血算値, 頭蓋内圧モニター上で圧亢進は回復した. 本例では保存的療法が有効で, 瀉血による脳血流の改善が症状の回復に寄与している可能性が示唆された.
ISSN:0470-8105