小脳出血で発症した血管芽腫の2例
小脳出血は, 高血圧性のもの以外では血管腫によるものが多いが, 最近我々は, 血管芽腫による小脳出血の小児例と成人例各1例を経験した. 症例1:2歳6ヵ月男子. 歩行障害のため小児科受診中, 全身痙攣発作, 意識障害出現. CTで小脳出血, 脳室拡大あったため, 脳室ドレナージ施行. 脳血管写にてAVM様の所見あり. 手術にてnidus様組織摘出. 組織学的には血管芽腫であり, 異常な動静脈も多数認められた. 症例2:56歳男性. めまい, 嘔吐で発症. CTにて左小脳半球に出血が認められたが, 脳血管写上異常血管陰影なし. 高血圧の既往が不明なため血管腫を疑い, 手術. 血管壁の一部に血管に...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 68 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1983
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ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 小脳出血は, 高血圧性のもの以外では血管腫によるものが多いが, 最近我々は, 血管芽腫による小脳出血の小児例と成人例各1例を経験した. 症例1:2歳6ヵ月男子. 歩行障害のため小児科受診中, 全身痙攣発作, 意識障害出現. CTで小脳出血, 脳室拡大あったため, 脳室ドレナージ施行. 脳血管写にてAVM様の所見あり. 手術にてnidus様組織摘出. 組織学的には血管芽腫であり, 異常な動静脈も多数認められた. 症例2:56歳男性. めまい, 嘔吐で発症. CTにて左小脳半球に出血が認められたが, 脳血管写上異常血管陰影なし. 高血圧の既往が不明なため血管腫を疑い, 手術. 血管壁の一部に血管に富む腫瘤摘出. 組織学的には, 典型的な血管芽腫であった. 考察:血管芽腫は出血で発症することはまれとされているが, この2例のごとく, 血管腫以外に小脳出血の原因として血管芽腫の可能性も念頭におき, 診断, 治療を考えるべきである. |
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ISSN: | 0470-8105 |