Brain stoneの1症例

Brain stoneに関する報告は極めてまれで, 本邦における報文は皆無である. 我々は痙攣発作を主訴とし来院した42歳女性に頭蓋内異常石灰化を認め, 放射線学的に検索を行ったところ, 右側頭葉前端部に小指頭大の石灰化巣を認めた. CTではbone density, CE(-), 脳シンチも(-), 右内頸動脈写にてM_1 に軽度の挙上を認める以外は, プロロングドインジェクションによっても有意の所見を検出し得なかった. 手術所見で腫瘤はクモ膜下右側頭葉前端に埋没し, 硬膜との癒着なく, 周囲との剥離は容易であった. 摘出標本はほぼレ線上計測の大きさに一致し, 砂状物の集合体で固く, HE染...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 60
Main Authors 丸木親, 中島啓次, 下地武義, 伊藤和文, 松本道男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:Brain stoneに関する報告は極めてまれで, 本邦における報文は皆無である. 我々は痙攣発作を主訴とし来院した42歳女性に頭蓋内異常石灰化を認め, 放射線学的に検索を行ったところ, 右側頭葉前端部に小指頭大の石灰化巣を認めた. CTではbone density, CE(-), 脳シンチも(-), 右内頸動脈写にてM_1 に軽度の挙上を認める以外は, プロロングドインジェクションによっても有意の所見を検出し得なかった. 手術所見で腫瘤はクモ膜下右側頭葉前端に埋没し, 硬膜との癒着なく, 周囲との剥離は容易であった. 摘出標本はほぼレ線上計測の大きさに一致し, 砂状物の集合体で固く, HE染色でEosinに淡染する層状構造の非細胞成分の集簇により形成され, 脳組織の介在は認めないが, 中等度の細胞浸潤をその間質に認めた. 腫瘍, 血腫, 肉芽組織等を示唆する構造の介在は認めなかった. 物質はPAS(+)であった. 以上から, idiopathic brain stoneと診断した.
ISSN:0470-8105