悪性胸腺腫の脳移転の1例

症例は45歳男性. 既往歴は2.5年前, 縦隔腫瘍の診断のもとに, 生検術を行い, 術後, 放射線療法, 化学療法を受けた. 数分間の意識消失発作, 全身痙攣発作を主症状として受診. 入院時, 重症筋無力症様所見なし. 眼底の乳頭辺縁不鮮明以外神経症状なし. CT scanで, 両側の前頭部にlow density areaに囲まれた腫瘍陰影が存在. 血清学的, 免疫学的検査で, リンパ球のB cell分画の軽度増加, Fcr^+ T cellの増加がみられた. 多発性の転移性脳腫瘍として手術を行った. 右前頭部の腫瘍は肉眼的に全摘出を行ったが, 左前頭部腫瘍は確認できず. 術後, 6000r...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; pp. 43 - 44
Main Authors 神谷博, 美馬達夫, 佐藤仁一, 益澤秀明, 末松直美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は45歳男性. 既往歴は2.5年前, 縦隔腫瘍の診断のもとに, 生検術を行い, 術後, 放射線療法, 化学療法を受けた. 数分間の意識消失発作, 全身痙攣発作を主症状として受診. 入院時, 重症筋無力症様所見なし. 眼底の乳頭辺縁不鮮明以外神経症状なし. CT scanで, 両側の前頭部にlow density areaに囲まれた腫瘍陰影が存在. 血清学的, 免疫学的検査で, リンパ球のB cell分画の軽度増加, Fcr^+ T cellの増加がみられた. 多発性の転移性脳腫瘍として手術を行った. 右前頭部の腫瘍は肉眼的に全摘出を行ったが, 左前頭部腫瘍は確認できず. 術後, 6000radの放射線治療を行い, 退院した. 組織学的に, 腫瘍は上皮性細胞が優位で, 血管外腔及び腫瘍細胞の配列が特徴的な悪性胸腺腫で, 縦隔腫瘍と一致した. 極めてまれな胸腺腫の脳転移の1例を, 診断, 治療及び予後に関し, 文献学的考察を加えて報告した.
ISSN:0470-8105