重症閉塞性脳血管障害例に対する外・内減圧術の検討

急性頭蓋内圧亢進症(脳ヘルニア)を伴う重症閉塞性脳血管障害例に対して, 救命と意識レベルの回復を目的に外・内減圧術を施行し, その有効性と経時的CT, r-CBFを検討した. 対象は側副血行路が乏しい右内頸動脈閉塞症2例, 右中大脳動脈閉塞症2例である. 全例とも臨床症状の進行性悪化をきたし, 経時的CTにて著明な脳浮腫を伴う中大脳動脈領域の低吸収域を示したため, 外減圧術と共に側頭葉切除を主とした内減圧術を同時に行ったが, 術後意識レベルの回復を全例に認め, 機能予後, 生命予後とも良好であった. 術前術後にr-CBF施行し得た2例において, 術後早期r-CBFは明らかに上昇し, 頭蓋内圧亢...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 20
Main Authors 井出渉, 中川原譲二, 武田利兵衛, 橋本郁郎, 徳田禎久, 田中靖通, 末松克美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:急性頭蓋内圧亢進症(脳ヘルニア)を伴う重症閉塞性脳血管障害例に対して, 救命と意識レベルの回復を目的に外・内減圧術を施行し, その有効性と経時的CT, r-CBFを検討した. 対象は側副血行路が乏しい右内頸動脈閉塞症2例, 右中大脳動脈閉塞症2例である. 全例とも臨床症状の進行性悪化をきたし, 経時的CTにて著明な脳浮腫を伴う中大脳動脈領域の低吸収域を示したため, 外減圧術と共に側頭葉切除を主とした内減圧術を同時に行ったが, 術後意識レベルの回復を全例に認め, 機能予後, 生命予後とも良好であった. 術前術後にr-CBF施行し得た2例において, 術後早期r-CBFは明らかに上昇し, 頭蓋内圧亢進による微小循環障害の改善によるものと考えた. 本報告例のように, CT上の低吸収域が劣位半球の主に中大脳動脈領域に限局し, 高度の脳浮腫を呈する場合, 脳ヘルニアによる二次的脳幹傷害を招く可能性が高く, 可及的早期にpreherniationを診断し外・内減圧術を施行するのが望ましいと考えられた.
ISSN:0470-8105