頭蓋内石灰化とモヤモヤ像を合併した1例

我々は, 最近モヤモヤ様血管病変を呈した症例を経験した. 症例は36歳女性で, 10歳の時に肺結核にて加療した既往があり, この時一過性の四肢の運動障害が認められた. 1983年7月9日より軽度の左片麻痺が出現し, 7月25日に当科に入院した. 入院時神経学的には左片麻痺が認められたが, 他は特に異常は認められなかった. CT scanでは脳底部に多発性の石灰化陰影, 脳室拡大が認められ, 脳血管写では両側脳内主幹動脈の狭窄と脳底部にモヤモヤ様血管陰影を認めた. 8月22日に, 一側前頭開頭にて石灰化部の生検を行った. 脳底部のクモ膜は全体に白濁, 肥厚しており, 頭蓋内炎症性疾患の既往が推定...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; pp. 17 - 18
Main Authors 北原正和, 金子宇一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:我々は, 最近モヤモヤ様血管病変を呈した症例を経験した. 症例は36歳女性で, 10歳の時に肺結核にて加療した既往があり, この時一過性の四肢の運動障害が認められた. 1983年7月9日より軽度の左片麻痺が出現し, 7月25日に当科に入院した. 入院時神経学的には左片麻痺が認められたが, 他は特に異常は認められなかった. CT scanでは脳底部に多発性の石灰化陰影, 脳室拡大が認められ, 脳血管写では両側脳内主幹動脈の狭窄と脳底部にモヤモヤ様血管陰影を認めた. 8月22日に, 一側前頭開頭にて石灰化部の生検を行った. 脳底部のクモ膜は全体に白濁, 肥厚しており, 頭蓋内炎症性疾患の既往が推定された. 特に視交叉部では結合組織の腫瘤を形成し, 中心部に石灰化が存在した. 病理組織学的に原因は明確にはし得なかったが, 経過から結核性髄膜炎に起因した頭蓋内石灰化と血管像の変化が疑われた.
ISSN:0470-8105