プロラクチン産生下垂体microadenomaに対する新しい手術法

プロラクチン産生下垂体腺腫の手術成績は, 他の機能性下垂体腺腫に比べると劣る. 術後, 血中プロラクチン値が正常となる頻度はmacroadenomaでは特に低い. macroadenomaの場合は, 腺腫細胞が周囲の硬膜に浸潤している場合が多く, 手術による全摘出が困難なことも理解できる. しかしながら, microadenomaの場合は, 腺腫も小さいので全摘出が理論的には考えられる. しかし, 現実には術後も高プロラクチン血症が持続する例がある. そこで, プロラクチン産生腺腫の原因が下垂体にあるのではなく, 視床下部のtuberoinfundibular neuronのdopamine作...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 10
Main Authors 佐藤修, 中川俊男, 堀田晴比古, 森本繁文, 大滝雅文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:プロラクチン産生下垂体腺腫の手術成績は, 他の機能性下垂体腺腫に比べると劣る. 術後, 血中プロラクチン値が正常となる頻度はmacroadenomaでは特に低い. macroadenomaの場合は, 腺腫細胞が周囲の硬膜に浸潤している場合が多く, 手術による全摘出が困難なことも理解できる. しかしながら, microadenomaの場合は, 腺腫も小さいので全摘出が理論的には考えられる. しかし, 現実には術後も高プロラクチン血症が持続する例がある. そこで, プロラクチン産生腺腫の原因が下垂体にあるのではなく, 視床下部のtuberoinfundibular neuronのdopamine作用欠損にあるのではないかという意見もあり, 混乱をきたしている. そこで, microadenomaで術後血中プロラクチン値が正常となるための手術方法について種々の検討を加えてきたが, その中の1つ, 腺腫を一塊として摘出するenbloc摘出術を報告した. この方法を3例のプロラクチン産生下垂体microadenomaに応用し, 全例, 術後血清プロラクチン値は正常となった.
ISSN:0470-8105