全身骨転移をきたした悪性リンパ腫の1例

最近我々は, 頭部外傷2ヵ月後に受傷部の腫脹と頭痛で発症し, 頭蓋骨および全身の骨に多発した非ホジキン型悪性リンパ腫の1例を経験した. 症例は66才男性. 入院時左前頭部・後頭部および左側胸部に腫瘤が認められた以外は, 神経学的に異常は認められなかった. 頭部単純写で多発性の虫喰い様の骨破壊像がみられ, 全身骨シンチで頭蓋, 脊椎, 肋骨, 骨盤に多発性にRIの集積像が認められた. 生検を目的に手術を施行, 病理組織は非ホジキン型悪性リンパ腫で, 多形細胞型・T cell型であった. ACNU, FT207, PSK併用療法を行い一時的に頭部腫瘤の消失をみたが, その後病的骨折を多発し死亡した...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 224
Main Authors 金城利彦, 佐藤智彦, 佐分利能生, 杉山聡, 笠井直人, 森照明, 糸賀敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:最近我々は, 頭部外傷2ヵ月後に受傷部の腫脹と頭痛で発症し, 頭蓋骨および全身の骨に多発した非ホジキン型悪性リンパ腫の1例を経験した. 症例は66才男性. 入院時左前頭部・後頭部および左側胸部に腫瘤が認められた以外は, 神経学的に異常は認められなかった. 頭部単純写で多発性の虫喰い様の骨破壊像がみられ, 全身骨シンチで頭蓋, 脊椎, 肋骨, 骨盤に多発性にRIの集積像が認められた. 生検を目的に手術を施行, 病理組織は非ホジキン型悪性リンパ腫で, 多形細胞型・T cell型であった. ACNU, FT207, PSK併用療法を行い一時的に頭部腫瘤の消失をみたが, その後病的骨折を多発し死亡した. 全身の剖検では骨以外にリンパ腫の病変は認められなかった. 骨に発生する非ホジキン型悪性リンパ腫には, 原発性と続発性とがあるが, 骨病変の拡がりから本症例は続発性と考えられたが, 原発巣を見い出すことはできなかった.
ISSN:0470-8105