乳汁分泌を伴った男性プロラクチン産生下垂体腺腫の1例

症例は28才男性. 突然の頭痛, 嘔吐で発症し, 悪寒戦慄・両下肢冷感が起こった. 視力・視野障害はなく, 乳汁分泌が認められた. 血清PRL値は697ng/mlで, 頭蓋単純撮影でトルコ鞍の拡大を認めた. 経蝶形骨洞手術を行い, 暗赤色の嚢腫内容を持つ嫌色素性下垂体腺腫を摘出した. 腫瘍内に出血があり, ヘモジデリンの沈着がみられた. 本例は視力・視野障害を伴わず, 下垂体卒中で発症し, 比較的早期に発見された男性プロラクチノーマと考えられた. またプロラクチノーマに伴う乳汁分泌は, 女性例に比し男性例には少なく, 我々の調べえた範囲では男性例の10%前後で, すべてlarge invasi...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 214
Main Authors 井上亨, 中垣博文, 松原俊幸, 田中滋也, 北村勝俊, 岸川高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:症例は28才男性. 突然の頭痛, 嘔吐で発症し, 悪寒戦慄・両下肢冷感が起こった. 視力・視野障害はなく, 乳汁分泌が認められた. 血清PRL値は697ng/mlで, 頭蓋単純撮影でトルコ鞍の拡大を認めた. 経蝶形骨洞手術を行い, 暗赤色の嚢腫内容を持つ嫌色素性下垂体腺腫を摘出した. 腫瘍内に出血があり, ヘモジデリンの沈着がみられた. 本例は視力・視野障害を伴わず, 下垂体卒中で発症し, 比較的早期に発見された男性プロラクチノーマと考えられた. またプロラクチノーマに伴う乳汁分泌は, 女性例に比し男性例には少なく, 我々の調べえた範囲では男性例の10%前後で, すべてlarge invasive adenomaにみられたものであった.
ISSN:0470-8105