高年初発てんかんで発症した左側頭葉類上皮腫の1例

今回我々は, 比較的高年齢でてんかん発作を示し, CTで左側頭部に低吸収域を認め, 手術にて類上皮腫と診断した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. Epidermoidは20~40才にかけて好発するが, 55才以上ではその約10%を占めるにすぎない. 高年齢者epidermoidの臨床的特徴として, 女性に2:1と多く, 好発部位の1つであるシルビウス裂内には, 文献例15例, 自験例3例中, 我々の1例にすぎず, てんかんで発症するテント上, あるいは大脳表面に存在する症例が比較的少なかった. また鑑別診断としてarachinoid cystが挙げられるが, その低吸収域...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 207
Main Authors 下鶴哲郎, 中山正基, 前田美樹, 妹尾包人, 粟博志, 朝倉哲彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:今回我々は, 比較的高年齢でてんかん発作を示し, CTで左側頭部に低吸収域を認め, 手術にて類上皮腫と診断した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. Epidermoidは20~40才にかけて好発するが, 55才以上ではその約10%を占めるにすぎない. 高年齢者epidermoidの臨床的特徴として, 女性に2:1と多く, 好発部位の1つであるシルビウス裂内には, 文献例15例, 自験例3例中, 我々の1例にすぎず, てんかんで発症するテント上, あるいは大脳表面に存在する症例が比較的少なかった. また鑑別診断としてarachinoid cystが挙げられるが, その低吸収域のHounsfield number, そのヒストグラムの検討, さらにメトリザマイドCTシステルノグラフィーの併用によって, 容易に診断できると思われた.
ISSN:0470-8105