興味ある内頸動脈狭窄性病変の2例

頸部内頸動脈の狭窄性病変の外科的手術60例中, 最近経験したいささか興味ある2例を呈示した. 症例1:70才男性. TIAを繰り返すminor-stroke. 血管写で両側頸部内頸動脈狭窄, 左中大脳動脈閉塞を認めたが, 心疾患, 胃潰瘍, 結核などの既往があり, 常識的には外科的治療の適応はないと考えられたが, 2年かけて順次両側頸部内頸動脈内膜除去術(CEA)とSTA-MCA吻合術を行った. 経過は順調で, 神経症状の改善とTIAの消失をみた. 症例2:63才男性. Minor-stroke. 左頸部内頸動脈に95%の狭窄があり, 型のごとくCEAを試みたが, atheromatous c...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 177
Main Authors 上田伸, 深見常晴, 樫原道治, 吉嶋淳生, 山下茂, 蔭山武文, 松本圭蔵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:頸部内頸動脈の狭窄性病変の外科的手術60例中, 最近経験したいささか興味ある2例を呈示した. 症例1:70才男性. TIAを繰り返すminor-stroke. 血管写で両側頸部内頸動脈狭窄, 左中大脳動脈閉塞を認めたが, 心疾患, 胃潰瘍, 結核などの既往があり, 常識的には外科的治療の適応はないと考えられたが, 2年かけて順次両側頸部内頸動脈内膜除去術(CEA)とSTA-MCA吻合術を行った. 経過は順調で, 神経症状の改善とTIAの消失をみた. 症例2:63才男性. Minor-stroke. 左頸部内頸動脈に95%の狭窄があり, 型のごとくCEAを試みたが, atheromatous changeは中膜筋層最外層に及び, CEA後の術中血管写で内頸動脈閉塞を認めたので, ただちに内頸動脈を狭窄部の脳側で切離し, 同時に切離した外頸動脈心臓側と端々吻合し, 頸部において外頸動脈-内頸動脈吻合術を行った. 術後の経過は良好で, 場合によってはpatch graftより簡単でよいのではないかと考えられた.
ISSN:0470-8105