両側性急性外傷性硬膜外血腫の1治験例

両側性の急性外傷性硬膜下血腫はまれで, 文献上17例を数えるにすぎない. 最近, 両側性急性硬膜外血腫を経験したので報告し, その発生機転についても言及した. 症例は40才男性. 1981年10月31日, 酒に酔って階段を転落, 意識消失のところを発見され, 翌日外傷15時間後に本院へ搬入された. 入院時神経学的所見として半昏睡, 除脳強直, 両側錐体路徴候陽性が認められた. 頭部レ線撮影で, 右前頭側頭部と左側頭頭頂部にそれぞれ線状骨折が認められ, またCT上, 右前頭頭頂部と左頭頂部に頭蓋内血腫像が認められた. 両側の緊急開頭術を施行し, 右70g左40gの硬膜外血腫を除去した. 出血源は...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 154
Main Authors 山本豊城, 中尾哲, 佐藤慎一, 伴貞彦, 尾形誠宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:両側性の急性外傷性硬膜下血腫はまれで, 文献上17例を数えるにすぎない. 最近, 両側性急性硬膜外血腫を経験したので報告し, その発生機転についても言及した. 症例は40才男性. 1981年10月31日, 酒に酔って階段を転落, 意識消失のところを発見され, 翌日外傷15時間後に本院へ搬入された. 入院時神経学的所見として半昏睡, 除脳強直, 両側錐体路徴候陽性が認められた. 頭部レ線撮影で, 右前頭側頭部と左側頭頭頂部にそれぞれ線状骨折が認められ, またCT上, 右前頭頭頂部と左頭頂部に頭蓋内血腫像が認められた. 両側の緊急開頭術を施行し, 右70g左40gの硬膜外血腫を除去した. 出血源はいずれも頭蓋骨骨折直下の硬膜動脈の破綻であった. 術後遷延性昏睡, 過高熱, 除脳強直が持続し, 痙攣重積症に陥ったが, 2日間のバルビタール脳保護療法により痙攣は抑制され, 術後16日目に意識を回復, 以後順調に経過し1ヵ月後に運動障害を残さず独歩退院した.
ISSN:0470-8105