Tethered cord syndromeの1例

Tethered cord syndromeは, 胎生期における正常な脊髄の上昇現象がなんらかの原因で妨げられ, 脊髄下端部が脊椎管内でつながれた状態となるため, 種々多様な神経症状を呈する疾患である. 最近我々は, 成人で症状発現し, しかもAVMを合併していたtethered cord syndromeの1例を経験した. 症例は39才女性. 左下肢牽引痛を主訴に来院. 入院時神経学的陽性所見として, 左母趾背屈不全麻痺, 左アキレス腱反射消失, 左L_5 およびS_1 に一致した触痛覚鈍麻を認め, また神経因性膀胱も指摘された. ミエログラフィーでは特徴的な所見を認めなかったが, CTミエ...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; pp. 153 - 154
Main Authors 絹田祐司, 内堀幹夫, 小山素麿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:Tethered cord syndromeは, 胎生期における正常な脊髄の上昇現象がなんらかの原因で妨げられ, 脊髄下端部が脊椎管内でつながれた状態となるため, 種々多様な神経症状を呈する疾患である. 最近我々は, 成人で症状発現し, しかもAVMを合併していたtethered cord syndromeの1例を経験した. 症例は39才女性. 左下肢牽引痛を主訴に来院. 入院時神経学的陽性所見として, 左母趾背屈不全麻痺, 左アキレス腱反射消失, 左L_5 およびS_1 に一致した触痛覚鈍麻を認め, また神経因性膀胱も指摘された. ミエログラフィーでは特徴的な所見を認めなかったが, CTミエログラフィーでL_2 ・L_3 レベルに馬尾神経に囲まれた小円形索状物を認めた. 手術にて, 硬膜内・外に異状血管網を伴ったtethered cordであることを確認した. 異常血管は硬膜内・外とも組織学的にAVMであった. Tethered cord syndromeは種々の合併症を伴うが, AVMを伴った例は我々の調べたかぎり文献上みられず, まれと考えられるので報告した.
ISSN:0470-8105