各種脳神経外科疾患に対するバルビタール脳保護療法の経験

脳虚血, 低酸素症や脳浮腫に対するバルビタールの脳保護作用が近年注目され, 臨床的にも応用され始めている. 我々も, クモ膜下出血, 重症頭部外傷などの脳神経外科疾患17症例に対して, バルビタール療法を実施した. セコバルビタールを初回10mg/kg静注し, さらに維持量として5mg/kgを2~3時間ごとに静注し, 脳波をよりどころにして麻酔深度を脳波波型がburst suppressionを示す段階に保ち, 平均4日間持続させた. 治療成績は軽快11例, 不変1例, 悪化2例, 死亡3例であった. クモ膜下出血および頭部外傷の代表例を提示し, バルビタールの脳保護作用機序ならびに本法の適応...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 150
Main Authors 山本豊城, 佐藤慎一, 伴貞彦, 尾形誠宏, 田中清明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:脳虚血, 低酸素症や脳浮腫に対するバルビタールの脳保護作用が近年注目され, 臨床的にも応用され始めている. 我々も, クモ膜下出血, 重症頭部外傷などの脳神経外科疾患17症例に対して, バルビタール療法を実施した. セコバルビタールを初回10mg/kg静注し, さらに維持量として5mg/kgを2~3時間ごとに静注し, 脳波をよりどころにして麻酔深度を脳波波型がburst suppressionを示す段階に保ち, 平均4日間持続させた. 治療成績は軽快11例, 不変1例, 悪化2例, 死亡3例であった. クモ膜下出血および頭部外傷の代表例を提示し, バルビタールの脳保護作用機序ならびに本法の適応についても言及した.
ISSN:0470-8105