頸椎の脱臼および骨折脱臼の治療経験

頸椎頸髄損傷は, 脳神経外科領域においてまま遭遇する疾患である. 早期の正しい診断と適切な治療が必要であるが, 治療法に関してはいまだ議論の多いところである. 今回我々は, 4例の頸椎頸髄損傷患者を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 脱臼脊椎の整復には頭蓋直達牽引による方法が有効で, 最初に試みる. この時の重錘筋弛緩法は各ケースにより異なるが, 十分に筋弛緩させ, 重錘を増加してレントゲンで確認しつつ早期に整復をはかる. 整復後の固定は, anterior fusionとposterior wiringの2法を検討して, 再脱臼することのないようにする. 整復不能のときは,...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 121
Main Authors 杉山忠光, 中川洋, 山田晃弘, 岩田金治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:頸椎頸髄損傷は, 脳神経外科領域においてまま遭遇する疾患である. 早期の正しい診断と適切な治療が必要であるが, 治療法に関してはいまだ議論の多いところである. 今回我々は, 4例の頸椎頸髄損傷患者を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 脱臼脊椎の整復には頭蓋直達牽引による方法が有効で, 最初に試みる. この時の重錘筋弛緩法は各ケースにより異なるが, 十分に筋弛緩させ, 重錘を増加してレントゲンで確認しつつ早期に整復をはかる. 整復後の固定は, anterior fusionとposterior wiringの2法を検討して, 再脱臼することのないようにする. 整復不能のときは, open reductionによりanterior fusionおよびposterior approachによるlocked facetの整復を確実にし, 必要ならばwiringの施行を同時にすることが適切だと思われた.
ISSN:0470-8105