頭蓋内に原発した悪性リンパ腫の1例

今回我々は, 頭蓋内原発悪性リンパ腫の1例を経験したので, 他の全身性悪性リンパ腫の1例と合わせ報告した. 症例1:56才男性. 脳初発の全身性悪性リンパ腫で, 意識障害で入院, 手術したが, 経過中, 敗血症で死亡した. 症例2:37才男性. 頭蓋内原発例で頭痛, 嘔吐, 右同名半盲, Gerstmann症候群を認めた. 術後診断は側脳室髄膜腫と診断した. 術前病理所見では悪性リンパ腫と診断された. 術後放射線療法3, 000rad終了後, CT・Gaシンチにて腫瘍陰影はまったく消失していたが, 術後13週目のGaシンチにて多発転移巣を認めた. 以後, 全身的・局所的化学療法を行った. 我々...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 73
Main Authors 小林博雄, 田ノ井千春, 楠野幸次, 林龍男, 吉田康成, 田所衛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:今回我々は, 頭蓋内原発悪性リンパ腫の1例を経験したので, 他の全身性悪性リンパ腫の1例と合わせ報告した. 症例1:56才男性. 脳初発の全身性悪性リンパ腫で, 意識障害で入院, 手術したが, 経過中, 敗血症で死亡した. 症例2:37才男性. 頭蓋内原発例で頭痛, 嘔吐, 右同名半盲, Gerstmann症候群を認めた. 術後診断は側脳室髄膜腫と診断した. 術前病理所見では悪性リンパ腫と診断された. 術後放射線療法3, 000rad終了後, CT・Gaシンチにて腫瘍陰影はまったく消失していたが, 術後13週目のGaシンチにて多発転移巣を認めた. 以後, 全身的・局所的化学療法を行った. 我々は, 頭蓋内初発の悪性リンパ腫の診断がなされた場合, 速やかに放射線療法を行い, たとえ放射線療法にて腫瘍がまったく消失し転移を認めていないとしても, 早期より全身的・局所的化学療法をも考慮すべきと考えた.
ISSN:0470-8105