ST上腫瘍内石灰化を認めた髄芽腫の1例

腫瘍内石灰化を認めた10才女児の髄芽腫を経験した. 石灰化はCTで明らかであったが, 単純撮影では認められなかった. Ependymomaを疑わせたが, 組織学的所見でdesmoplastic typeの髄芽腫を認め, 一部oligodendrogliaへの分化を示し, 石灰化像が確認された. 当科では, 過去7年間に7例の髄芽腫を経験しているが, 治療前のCTで石灰化像を認めたのは初めてであった. 髄芽腫の石灰化については, すでにRingertzらが1950年に111例中5例に組織学的に石灰化を確認している. CTの出現以来, 石灰化の検出度が高まるにつれて, 文献上では治療前の髄芽腫の石...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 70
Main Authors 朝日茂樹, 宮坂佳男, 松森邦昭, 別府俊男, 久保長生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:腫瘍内石灰化を認めた10才女児の髄芽腫を経験した. 石灰化はCTで明らかであったが, 単純撮影では認められなかった. Ependymomaを疑わせたが, 組織学的所見でdesmoplastic typeの髄芽腫を認め, 一部oligodendrogliaへの分化を示し, 石灰化像が確認された. 当科では, 過去7年間に7例の髄芽腫を経験しているが, 治療前のCTで石灰化像を認めたのは初めてであった. 髄芽腫の石灰化については, すでにRingertzらが1950年に111例中5例に組織学的に石灰化を確認している. CTの出現以来, 石灰化の検出度が高まるにつれて, 文献上では治療前の髄芽腫の石灰化について1970年以後諸家の報告がみられる. その頻度は2%(Rubinstein, 1970)~15%(Zimmerman, 1977)である. CT所見とhistologyを比較検討した例では, classical type, desmoplastic type, oligodendrogliaへの分化を示すtypeのいずれにも石灰化像が認められており, CT上の所見から特定のtypeに同定できるとは言えなかった.
ISSN:0470-8105