嚢胞内隔壁形成のみられた孔脳症の1症例

症例は11才男子. 痙攣発作を主訴として入院した. 左側頭頭頂葉に大きな嚢腫様病変があり, CT上, 嚢腫内隔壁が認められた. RIおよびmetrizamideの嚢腫内流入が認められ, CAGにて左中大動脈の狭小化が認められた. 手術時, 嚢腫のouter membraneはpaper-thin cortexより成り, 嚢腫内髄液は脳室内髄液とは明らかに異なっていた. 病理検索では, 嚢腫壁および嚢腫内隔壁はleptomeningesとneuroglial tissueから構成されていた. Cyst-peritoneal shuntにより嚢腫は縮小したが, 患側側脳室の代償性拡大がみられた....

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 61
Main Authors 杉村純, 畑下鎮男, 古賀信憲, 榊原常緑, 高木偉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:症例は11才男子. 痙攣発作を主訴として入院した. 左側頭頭頂葉に大きな嚢腫様病変があり, CT上, 嚢腫内隔壁が認められた. RIおよびmetrizamideの嚢腫内流入が認められ, CAGにて左中大動脈の狭小化が認められた. 手術時, 嚢腫のouter membraneはpaper-thin cortexより成り, 嚢腫内髄液は脳室内髄液とは明らかに異なっていた. 病理検索では, 嚢腫壁および嚢腫内隔壁はleptomeningesとneuroglial tissueから構成されていた. Cyst-peritoneal shuntにより嚢腫は縮小したが, 患側側脳室の代償性拡大がみられた. 本症例は中大脳動脈領域の循環障害によるencephalomalaciaに続発したものと考えられるが, birth injuryの存在を思わせるhistoryがあり, perinatal traumaの関与の可能性もあった.
ISSN:0470-8105