AFPおよびHCG高値を呈した鞍上部mixed germ cell tumorの1例
血中α-fetoprotein(AFP)およびhuman chorionic gonadotropin(HCG)が高値を示し, その値は臨床症状およびCT所見の変化とよく一致し, 経過中V-P shuntを介して腹腔内転移をきたしたと思われる, まれな鞍上部mixed germ cell tumorの1例を若干の考察を加え報告した. 症例は7才女子. 1981年2月より頭痛, 嘔吐を訴え, しだいに傾眠傾向となり, 3月6日入院. CT上, 脳室拡大と鞍上部腫瘤を認め, 同日V-P shuntを施行. 3月17日部分摘出術を行い, mixed germ cell tumorと診断(AFP, H...
Saved in:
Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 58 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1982
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 血中α-fetoprotein(AFP)およびhuman chorionic gonadotropin(HCG)が高値を示し, その値は臨床症状およびCT所見の変化とよく一致し, 経過中V-P shuntを介して腹腔内転移をきたしたと思われる, まれな鞍上部mixed germ cell tumorの1例を若干の考察を加え報告した. 症例は7才女子. 1981年2月より頭痛, 嘔吐を訴え, しだいに傾眠傾向となり, 3月6日入院. CT上, 脳室拡大と鞍上部腫瘤を認め, 同日V-P shuntを施行. 3月17日部分摘出術を行い, mixed germ cell tumorと診断(AFP, HCG高値). 放射線療法にて臨床症状, CT所見とも改善(AFP, HCG低値). しかし, 7月下旬より腹満出現. CT上, 腹腔内腫瘤を認め, V-P shuntを介しての転移と考え(AFP, HCG高値), VAB療法施行. その結果, CT上腫瘤の消褪を認め, 全身状態も改善し(AFP, HCG低値), 12月8日退院. しかし翌年に入り, 再度意識状態悪化し1982年1月14日死亡した. AFPおよびHCGは, 診断・臨床経過および治療効果の指標として非常に有用であった. |
---|---|
ISSN: | 0470-8105 |