高プロラクチン血症を伴った海綿静脈洞部動脈瘤の1例

下垂体近傍疾患のうち, 下垂体腺腫以外の占拠性病変で高PRL血症をきたしたという報告は少ないが, ことに動脈瘤に合併したという報告は今まで1例あるにすぎない. 我々は, 海綿静脈洞部の巨大動脈瘤で高PRL血症を伴った症例を経験したので報告した. 症例は60才女性. 1981年8月23日, クモ膜下出血にて発症, 神経学的には左の眼球運動完全麻痺を認めた. 既往歴として, 30年以上前より無月経, 乳漏を認めていた. 子供は2人, 常用薬はない. 神経放射線学的検査では, 左内頸動脈の海綿静脈洞部に発生し, トルコ鞍内を占拠する3×2.5×2cm大の巨大動脈瘤を認めた. PRL値は基礎値で140...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 39
Main Authors 岩田隆信, 村瀬活郎, 鈴木島吉, 宮川洋輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:下垂体近傍疾患のうち, 下垂体腺腫以外の占拠性病変で高PRL血症をきたしたという報告は少ないが, ことに動脈瘤に合併したという報告は今まで1例あるにすぎない. 我々は, 海綿静脈洞部の巨大動脈瘤で高PRL血症を伴った症例を経験したので報告した. 症例は60才女性. 1981年8月23日, クモ膜下出血にて発症, 神経学的には左の眼球運動完全麻痺を認めた. 既往歴として, 30年以上前より無月経, 乳漏を認めていた. 子供は2人, 常用薬はない. 神経放射線学的検査では, 左内頸動脈の海綿静脈洞部に発生し, トルコ鞍内を占拠する3×2.5×2cm大の巨大動脈瘤を認めた. PRL値は基礎値で140~170ng/mlで, TRH負荷にて低反応, bromocriptine負荷で中程度の抑制を認めた. その他の下垂体機能は比較的よく保たれていた. 高PRL血症をきたした理由として, 下垂体腺腫その他の疾患の合併も最終的には否定できないが, stalkの圧排によるPIF抑制のためと考えている.
ISSN:0470-8105