頭蓋内転移をきたした腎腺癌の1例

腎腺癌は転移性脳腫瘍の3~11%を占め, 決してまれなものではないがその報告は少ない. 我々は, 転移性腎腺癌全摘後長期間生存した興味ある1例を経験したので報告した. 症例は56才女性. 精神症状で発症し, CTで右前頭葉に著明なmass effectを伴ったenhanced massがあり, 脳血管写では動脈相早期から出現する腫瘍濃染像を認めた. 転移性脳腫瘍を疑い, 全摘術を施行. 組織診断は腺癌であった. 精査の結果右腎腫瘍が認められ, 右腎摘出術が施行され, 腫瘍は腺癌であった. 術後経過は良好であったが, 2年半後に右前頭葉に再び転移を起こしたので全摘術を行い, 現在経過観察中である...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 21
Main Authors 皆河崇志, 栗田勇, 三浦邦夫, 川上敬三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:腎腺癌は転移性脳腫瘍の3~11%を占め, 決してまれなものではないがその報告は少ない. 我々は, 転移性腎腺癌全摘後長期間生存した興味ある1例を経験したので報告した. 症例は56才女性. 精神症状で発症し, CTで右前頭葉に著明なmass effectを伴ったenhanced massがあり, 脳血管写では動脈相早期から出現する腫瘍濃染像を認めた. 転移性脳腫瘍を疑い, 全摘術を施行. 組織診断は腺癌であった. 精査の結果右腎腫瘍が認められ, 右腎摘出術が施行され, 腫瘍は腺癌であった. 術後経過は良好であったが, 2年半後に右前頭葉に再び転移を起こしたので全摘術を行い, 現在経過観察中である. 転移性腎腺癌全摘後の長期生存例は古くから報告されているので, 他の転移性脳腫瘍より積極的な手術が必要と考えられる.
ISSN:0470-8105