中大脳動脈末梢部細菌性動脈瘤の1例

症例は57才男性. 1982年5月中頃, 38.7℃の発熱および軽度の頭痛が出現し, 3日後頭痛は強くなり, また嘔気も出現し, 翌日には二度の嘔吐があった. このため, 5月20日医師の診察を受け血性髄液を指摘され, クモ膜下出血と診断された. 6月8日, 当科に紹介され入院. 入院時全身所見で異常なく, 神経学的所見では軽度の記銘力低下, 失見当識および失算を認めた. CTスキャンおよび脳血管写にて右中大脳動脈末梢のsaccular aneurysmおよびその部の脳内血腫と診断, 血腫除去および動脈瘤摘出術を行った. 摘出した動脈瘤は, 壁の大部分が肉芽組織や結合織からなるpseudoan...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 12
Main Authors 牧野憲一, 藤田力, 福田博, 三森研自, 大神正一郎, 米増祐吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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ISSN0470-8105

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Summary:症例は57才男性. 1982年5月中頃, 38.7℃の発熱および軽度の頭痛が出現し, 3日後頭痛は強くなり, また嘔気も出現し, 翌日には二度の嘔吐があった. このため, 5月20日医師の診察を受け血性髄液を指摘され, クモ膜下出血と診断された. 6月8日, 当科に紹介され入院. 入院時全身所見で異常なく, 神経学的所見では軽度の記銘力低下, 失見当識および失算を認めた. CTスキャンおよび脳血管写にて右中大脳動脈末梢のsaccular aneurysmおよびその部の脳内血腫と診断, 血腫除去および動脈瘤摘出術を行った. 摘出した動脈瘤は, 壁の大部分が肉芽組織や結合織からなるpseudoaneurysmの像を呈し, 外膜にはリンパ球・形質細胞の強い細胞浸潤がみられた. 本症例は臨床経過, 脳血管写所見および病理組織学的所見より, ほかに明かな炎症性病変を認めないcryptogenic typeの細菌性脳動脈瘤と考えられた.
ISSN:0470-8105