若年者原発性橋出血

若年者原発性橋出血はまれな疾患であるが, その発症様式は必ずしも一様でなく, 徐々に進行性に増悪し, 脳腫瘍として放射線療法を受けた症例14, 21, 40)増悪と寛解を繰り返し多発性硬化症と診断された症例1)などが報告されている. また卒中発作で発症した症例も, その初発症状は軽い頭痛, 眩暈などから, 急激な経過をとり死に至る症例7, 17, 40)もあり, 急に昏睡状態となるような症例3, 40)の予後は不良とされている. 我々は, 発症後急激に半昏睡状態となりながら救命しえた若年者原発性橋出血の1例を経験した. 今回はその臨床上興味ある点について述べ, 併せて過去に報告された23例につ...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. 2; pp. 133 - 140
Main Authors 弗川哲二, 山田徹, 武田哲二, 二階堂雄次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:若年者原発性橋出血はまれな疾患であるが, その発症様式は必ずしも一様でなく, 徐々に進行性に増悪し, 脳腫瘍として放射線療法を受けた症例14, 21, 40)増悪と寛解を繰り返し多発性硬化症と診断された症例1)などが報告されている. また卒中発作で発症した症例も, その初発症状は軽い頭痛, 眩暈などから, 急激な経過をとり死に至る症例7, 17, 40)もあり, 急に昏睡状態となるような症例3, 40)の予後は不良とされている. 我々は, 発症後急激に半昏睡状態となりながら救命しえた若年者原発性橋出血の1例を経験した. 今回はその臨床上興味ある点について述べ, 併せて過去に報告された23例について文献的考察を加えた. 症例 <患者>12才, 男子 主訴:頭痛, 意識障害 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1979年2月16日午後10時15分頃, 就眠しようと床についたところ, 急に起き上がって“右眼が痛い”と眼をおさえ, 嘔吐を頻回にし, そのまま意識消失した. 30分後には, 呼びかけに対してうなずくこともあるようになった. 同日午後11時, 島根県立中央病院脳神経外科に入院した.
ISSN:0470-8105