モヤモヤ病に対するencephalo-myo-synangiosis

ウィリス動脈輪閉塞症, いわゆるモヤモヤ病14)は, 小児期と成人期に2つのピークをもつ脳血管の特異な閉塞性疾患であるが, 多くの研究者の注目をあび, 小児の脳血管造影が一般化するにつれて, 決してまれな疾患ではないことが知られてきている. さらに, 長期観察結果の集積により, 本疾患の緩徐または段階的な進行性が明らかになり6)9)11)13), 適切な治療法の確立が急がれている. 脳血管拡張剤, 脳代謝賦活剤, ステロイドホルモン剤などの内科的治療や頸部交感神経切除術15)も, 経続的な効果はいまだ満足すべきものではなく, 浅側頭動脈-中大脳動脈皮質枝吻合術(STA-MCA吻合術)3)4)6...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 21; no. 12; pp. 1229 - 1238
Main Authors 小林啓志, 竹内茂和, 土田正, 伊藤寿介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1981
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Summary:ウィリス動脈輪閉塞症, いわゆるモヤモヤ病14)は, 小児期と成人期に2つのピークをもつ脳血管の特異な閉塞性疾患であるが, 多くの研究者の注目をあび, 小児の脳血管造影が一般化するにつれて, 決してまれな疾患ではないことが知られてきている. さらに, 長期観察結果の集積により, 本疾患の緩徐または段階的な進行性が明らかになり6)9)11)13), 適切な治療法の確立が急がれている. 脳血管拡張剤, 脳代謝賦活剤, ステロイドホルモン剤などの内科的治療や頸部交感神経切除術15)も, 経続的な効果はいまだ満足すべきものではなく, 浅側頭動脈-中大脳動脈皮質枝吻合術(STA-MCA吻合術)3)4)6)8)12), encephalo-myo-synangiosis(EMS)2)3)12), encephalo-duro-arterio-synangiosis(EDAS)10)や, 大網移植術5)等, 脳血流の直接増加を目指す外科的療法の効果が報告され, 注目を集めている. 我々は, 12例のモヤモヤ病にEMS単独13回, EMSとSTA-MCA吻合術併用3回を行い, 臨床症状と脳血管造影所見の著明な改善をみた. EMS後の脳血管造影所見を中心に検討し, 併せてEMSの術式の改良とEMS後の血管造影像より, モヤモヤ病の中大脳動脈皮質枝の病変について考察したことを報告する.
ISSN:0470-8105