Carotid endarterectomy後の修復過程に関する実験病理学的研究

頸部頸動脈の動脈硬化性病変は, 血管内腔を狭窄し脳血流を減少させるほか, 狭窄部内膜壊死組織部から発する栓塞子によっても脳梗塞を生じると考えられており, Eastcott, et al. 6)以来主としてcarotid endartercctomy(以下CEと略す)が治療として行われ, 術後, 脳梗塞の発生する頻度が減少することについて多数の臨床的3)4)7)12)15)および実験的報告18)25)がなされている. しかしCEにより新たに内膜欠損部をより広範囲にわたって作製することになり, 少なくとも術後修復に至るまでのある期間は, かえって栓塞子による脳梗塞発生の危険が高いのではないかとも考...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 20; no. 5; pp. 489 - 496
Main Authors 横山博明, 小野博久, 森和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1980
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Summary:頸部頸動脈の動脈硬化性病変は, 血管内腔を狭窄し脳血流を減少させるほか, 狭窄部内膜壊死組織部から発する栓塞子によっても脳梗塞を生じると考えられており, Eastcott, et al. 6)以来主としてcarotid endartercctomy(以下CEと略す)が治療として行われ, 術後, 脳梗塞の発生する頻度が減少することについて多数の臨床的3)4)7)12)15)および実験的報告18)25)がなされている. しかしCEにより新たに内膜欠損部をより広範囲にわたって作製することになり, 少なくとも術後修復に至るまでのある期間は, かえって栓塞子による脳梗塞発生の危険が高いのではないかとも考えられる. 我々はこの点を明らかにするため, 光顕およびscanning electron microscopy(以下SEMと略す)を使用し, ネコにおいてCE後の血管内腔面の経時的修復過程について検討し, 1)CE後内腔面における無構造物質の形成と, 2)5~7日目に起こる新生内皮細胞の遊走がCE後の血栓形成防止に重要なことを報告した25).
ISSN:0470-8105