脳腫瘍手術におけるCO_2 レーザーメスの有用性と使用上注意すべき点について

我々は1969年に脳外科用炭酸ガスレーザーメス実用機開発の研究に着手し, 今日脳腫瘍の手術にルーティンに用いることができる段階に達した. CO_2 レーザーは波長10.6μの遠赤外線でその生物学的作用はもっぱら熱効果である. すなわち腫瘍は熱凝固され, ひきつづき無血的に気化消滅する. その焦点温度は約1,500℃という高温にもかかわらず, 残った組織における熱凝固層はたったの50μである. この侵襲の高度の限局性こそ精密さを要求される脳外科手術に炭酸ガスレーザーが使われる理由の一つである. 術者は腫瘍を意図するだけ除去することができる. その手技は次のごとくである. まず腫瘍表面を露出させて...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 19; no. suppl; p. 181
Main Authors 滝澤利明, 山崎隆, 三浦のり子, 松本正久, 佐野圭司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1979
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ISSN0470-8105

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Summary:我々は1969年に脳外科用炭酸ガスレーザーメス実用機開発の研究に着手し, 今日脳腫瘍の手術にルーティンに用いることができる段階に達した. CO_2 レーザーは波長10.6μの遠赤外線でその生物学的作用はもっぱら熱効果である. すなわち腫瘍は熱凝固され, ひきつづき無血的に気化消滅する. その焦点温度は約1,500℃という高温にもかかわらず, 残った組織における熱凝固層はたったの50μである. この侵襲の高度の限局性こそ精密さを要求される脳外科手術に炭酸ガスレーザーが使われる理由の一つである. 術者は腫瘍を意図するだけ除去することができる. その手技は次のごとくである. まず腫瘍表面を露出させてからdefocused beamで表面の血管やカプセル等を凝固収縮させ, つづいてそれより高いpower densityをもつdefocused beamで腫瘍実質をvaporizeする. このようにしてリンゴの芯を抜いたように周辺部を残す.
ISSN:0470-8105