脳外科手術中の電解質とADH

目的:術後の代謝異常への理解を深めるために, 術中の電解質, 特にNaを重点的に追跡し, 同時に施行したADHの測定も含めて手術部位による影響の差および術後の経過との関連性につき検討した. 方法:対象は15例で, 8例はトルコ鞍近傍の腫瘍または動脈瘤であり, 7例はその他の部位の腫瘍であった. 手術の進行に従い, (1)手術前, (2)硬膜切開時, (3)硬膜縫合時, (4)病棟帰室時, (5)翌朝の5回, 血中および蓄尿中のNa, Kおよび滲透圧を測定し, 主として(1)と(3)の2回にADHを測定した. ADHは採血後すぐに室温下で血漿分離し, 凍結保存して院外の検査所―SRL―へ測定を依...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 19; no. suppl; p. 13
Main Authors 久間祥多, 篠永正道, 藤津和彦, 桑原武夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1979
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ISSN0470-8105

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Summary:目的:術後の代謝異常への理解を深めるために, 術中の電解質, 特にNaを重点的に追跡し, 同時に施行したADHの測定も含めて手術部位による影響の差および術後の経過との関連性につき検討した. 方法:対象は15例で, 8例はトルコ鞍近傍の腫瘍または動脈瘤であり, 7例はその他の部位の腫瘍であった. 手術の進行に従い, (1)手術前, (2)硬膜切開時, (3)硬膜縫合時, (4)病棟帰室時, (5)翌朝の5回, 血中および蓄尿中のNa, Kおよび滲透圧を測定し, 主として(1)と(3)の2回にADHを測定した. ADHは採血後すぐに室温下で血漿分離し, 凍結保存して院外の検査所―SRL―へ測定を依頼した. 結果:血清Na濃度は(2)において1例を除いて全例に低下がみられた. 129mEq以下が5例, 135~130mEqが6例であった. その後次第に濃度は上昇し, 翌日には術前の濃度よりもやや低いところへ落ち着いた.
ISSN:0470-8105