脳室炎, 脳室内出血における脳室内病変と脳室灌流について

生体における脳室内の正常像や病的像がどのようなものかを知りたいという願望は, 多くの脳外科達の心をとらえてやまない. 特に炎症や腫瘍, 出血等の病的状態下の変化を直視下に観察できれば, 多くのメリットを生むことは明らかである. 現在汎用されている手術用顕微鏡や生体の表面の組織をみる生体用拡大顕微鏡をはじめ, 位相差電顕等が導入されるようになって, 脳室壁や脈絡叢の表面構造の詳細が判明しつつある. にもかかわらず, 生体の直視下における肉眼的または弱拡大下の生の所見は, 臨床上病態の把握や経時的変化の追求を行うことができ, さらに直接または間接的治療上の手助けにもつながることが多く, その魅力は...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 18; no. 6; pp. 495 - 503
Main Authors 尾形誠宏, 長田裕, 佐藤慎一, 伴貞彦, 長久雅博, 犬塚楢夫, 山本豊城
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1978
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Summary:生体における脳室内の正常像や病的像がどのようなものかを知りたいという願望は, 多くの脳外科達の心をとらえてやまない. 特に炎症や腫瘍, 出血等の病的状態下の変化を直視下に観察できれば, 多くのメリットを生むことは明らかである. 現在汎用されている手術用顕微鏡や生体の表面の組織をみる生体用拡大顕微鏡をはじめ, 位相差電顕等が導入されるようになって, 脳室壁や脈絡叢の表面構造の詳細が判明しつつある. にもかかわらず, 生体の直視下における肉眼的または弱拡大下の生の所見は, 臨床上病態の把握や経時的変化の追求を行うことができ, さらに直接または間接的治療上の手助けにもつながることが多く, その魅力は捨てがたいものがある. これらの目的を果たすために脳室内に内視鏡を用いたのは, Lespinasse(1910)4), Putnam(1934)21)の小型膀胱鏡による脳水腫の治療にはじまる.
ISSN:0470-8105