クッシング病に対する経鼻的手術

内因性の慢性持続的なコーチゾール過剰分泌に起因するクッシング症候群のうち, その過半数の症例は下垂体性ACTH過剰分泌によるクッシング病である. このACTH過剰分泌の原因としては, すでにクッシング自身によって発見されたごとく4)5), 多くの場合は好塩基性の下垂体腺腫によるものであり, したがってこの腺腫を脳外科的に切除するのが, もっとも望ましい治療法であると思われる. しかしながら, このACTH産生下垂体腺腫は大部分のものが直径10mm以下のいわゆるmicroadenomaであり, したがってトルコ鞍の変形・拡大をきたすことは少なく15), 視力・視野障害などの神経症状をほとんど認め...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 18; no. 4; pp. 279 - 285
Main Authors 桑山明夫, 景山直樹, 中根藤七, 高野橋正好, 岡田力, 蟹江規雄, 原厳, 富田明夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1978
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Summary:内因性の慢性持続的なコーチゾール過剰分泌に起因するクッシング症候群のうち, その過半数の症例は下垂体性ACTH過剰分泌によるクッシング病である. このACTH過剰分泌の原因としては, すでにクッシング自身によって発見されたごとく4)5), 多くの場合は好塩基性の下垂体腺腫によるものであり, したがってこの腺腫を脳外科的に切除するのが, もっとも望ましい治療法であると思われる. しかしながら, このACTH産生下垂体腺腫は大部分のものが直径10mm以下のいわゆるmicroadenomaであり, したがってトルコ鞍の変形・拡大をきたすことは少なく15), 視力・視野障害などの神経症状をほとんど認めないために, 従来積極的には脳外科的手術療法の対象とはならなかった.
ISSN:0470-8105