脳動脈瘤破裂症例における脳循環動態

破裂脳動脈瘤に対する治療方針, 特に手術適応と手術時期はきわめて重要な問題でありながら, 現在なお一致した見解が得られていない. 再破裂の防止という観点よりすれば, できるだけ早期に脳動脈瘤に対する根治手術を行うべきではあるが, 脳動脈瘤破裂急性期では種々の病態がひきおこされ, さらに手術侵襲を加えることが重篤な, 時には死に至る悪影響を及ぼすことが少なくない. この問題を解決するためには刻々と変化する病態を的確に把握し, いかなる病態が手術に耐え難いかを分析する必要がある. 脳循環動態の把握は, 手術時期の決定, 予後の判定, 術後の治療法の選択にきわめて有力な情報を提供すると考えられる....

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 18; no. 3; pp. 183 - 190
Main Authors 石井鐐二, 小林啓志, 青木広市, 小池哲雄, 伊原郁夫, 亀山茂樹, 竹内茂和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1978
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Summary:破裂脳動脈瘤に対する治療方針, 特に手術適応と手術時期はきわめて重要な問題でありながら, 現在なお一致した見解が得られていない. 再破裂の防止という観点よりすれば, できるだけ早期に脳動脈瘤に対する根治手術を行うべきではあるが, 脳動脈瘤破裂急性期では種々の病態がひきおこされ, さらに手術侵襲を加えることが重篤な, 時には死に至る悪影響を及ぼすことが少なくない. この問題を解決するためには刻々と変化する病態を的確に把握し, いかなる病態が手術に耐え難いかを分析する必要がある. 脳循環動態の把握は, 手術時期の決定, 予後の判定, 術後の治療法の選択にきわめて有力な情報を提供すると考えられる. これまでも脳動脈瘤破裂症例における局所脳循環に関する報告はいくつかみられるが1)5)7)9)13)15)19)22)23)25)27)29), 種々の病態とその推移および手術予後とを関連させた分析は意外に少ない. 我々は脳動脈瘤破裂症例の局所脳血流量を測定し, 大脳半球の平均脳血流量と臨床症状, 脳血管写所見, computed tomography(CT)所見, 脳脊髄液圧, さらに手術予後との関連に検討を加えた.
ISSN:0470-8105