脳室炎, 脳室内出血における脳室内病変と脳室灌流について

脳鏡の導入により観察された脳室内病変所見を脳室炎の30例, 脳室内出血の60例について検討するとともに, 昭和49年11月以来施行してきた脳室炎, 脳室内出血に対する持続脳室灌流(CIVI)18例の結果をも併せ検討し, 脳室炎や脳室内出血の治療上の問題点を探り報告した. 脳室炎について:経時的に観察しえた8例の病変を中心に, 全例に見られた所見を, 病状経過や予後を参考にしてretrospectiveにまとめ, これを4期(初期, 進行期, 末期および回復期)に分類した. このうち, 前2期がCIVIの適応であり, 末期になると特徴的な隔壁形成(8例)や, 糸, 索, 柱, 膜様構造物(13例...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 17; no. suppl; p. 38
Main Authors 尾形誠宏, 長田裕, 佐藤慎一, 伴貞彦, 長久雅博, 犬塚楢夫, 山本豊城
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1977
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ISSN0470-8105

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Summary:脳鏡の導入により観察された脳室内病変所見を脳室炎の30例, 脳室内出血の60例について検討するとともに, 昭和49年11月以来施行してきた脳室炎, 脳室内出血に対する持続脳室灌流(CIVI)18例の結果をも併せ検討し, 脳室炎や脳室内出血の治療上の問題点を探り報告した. 脳室炎について:経時的に観察しえた8例の病変を中心に, 全例に見られた所見を, 病状経過や予後を参考にしてretrospectiveにまとめ, これを4期(初期, 進行期, 末期および回復期)に分類した. このうち, 前2期がCIVIの適応であり, 末期になると特徴的な隔壁形成(8例)や, 糸, 索, 柱, 膜様構造物(13例)がみられ, 予後は不良で死亡または高度の後遺症を残す. CIVI施行上の問題点はすでに発表ずみであるが, 灌流液の1日適量は1,000~1,500mlの人工髄液で, 注入薬液はcne shotの5~10倍使用可能, 期間4~14日, 中止時期は, 臨床症状の改善をみた時にいったん中止し, 翌日の髄液所見で決定する.
ISSN:0470-8105