実験的クモ膜下出血(SAH)後の攣縮脳血管壁における微細構造の経時的変化

SAH後の脳血管攣縮機序解明の手掛りとして実験的SAH後の攣縮血管壁の形態的変化がどの構造に始まり, いかなる経時的変化を辿るかを電顕により検索した. 実験方法:雑種成犬を用い自家新鮮血5ccを視交叉槽に注入して実験的SAHを作製, 血管攣縮の消長は経時的脳血管写により検索し, 自家血注入後30分から6ヵ月までの各群で脳血管写にて攣縮のあった脳底動脈を灌流固定により電顕資料として採取した. 結果:脳血管写上SAH直後より2時間頃まで早期攣縮が, またそれがいったん, 緩解した後に生ずる晩期箪縮の二相性変化が観察された. 早期攣縮では血管壁の強い迂曲がみられるが, 血管壁微細構造の変化は認められ...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 17; no. suppl; p. 29
Main Authors 川崎昭一, 岡田耕坪, 青木広市, 土田正, 植木幸明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1977
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Summary:SAH後の脳血管攣縮機序解明の手掛りとして実験的SAH後の攣縮血管壁の形態的変化がどの構造に始まり, いかなる経時的変化を辿るかを電顕により検索した. 実験方法:雑種成犬を用い自家新鮮血5ccを視交叉槽に注入して実験的SAHを作製, 血管攣縮の消長は経時的脳血管写により検索し, 自家血注入後30分から6ヵ月までの各群で脳血管写にて攣縮のあった脳底動脈を灌流固定により電顕資料として採取した. 結果:脳血管写上SAH直後より2時間頃まで早期攣縮が, またそれがいったん, 緩解した後に生ずる晩期箪縮の二相性変化が観察された. 早期攣縮では血管壁の強い迂曲がみられるが, 血管壁微細構造の変化は認められない. 晩期攣縮ではまず内皮細胞管腔側の不規則化, 胞体内小空胞の増加がみられ, 外膜では線維細胞の空胞化, 間質内血球成分の混在がみられる. 中膜では筋細胞体不規則化, 細胞膜近傍の空胞化, myeline figureの増加がみられる.
ISSN:0470-8105