脳動脈攣縮に関する実験的研究

1968年Brawleyら2) は実験的研究によって, 脳動脈攣縮がクモ膜下出血後2相性に出現することを明らかにした. その後, 類似の証明は諸家6)10)11) によってもなされており, 脳動脈墜縮がacute phase(またはcarly spasm)およびchronic phase(またはdelayed spasm, prolonged spasm, late spasm)と呼ばれる両相を有する現象であることは現在一般に認められている. また, これら両相における脳動脈壁縮の発生機序は異なるものであると考えられてきているが, その本態に関しては依然として明らかでない. 一方, 1951年...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 17; no. 1; pp. 39 - 45
Main Authors 堤博, 稲葉憲一, 宮崎雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1977
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ISSN0470-8105

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Summary:1968年Brawleyら2) は実験的研究によって, 脳動脈攣縮がクモ膜下出血後2相性に出現することを明らかにした. その後, 類似の証明は諸家6)10)11) によってもなされており, 脳動脈墜縮がacute phase(またはcarly spasm)およびchronic phase(またはdelayed spasm, prolonged spasm, late spasm)と呼ばれる両相を有する現象であることは現在一般に認められている. また, これら両相における脳動脈壁縮の発生機序は異なるものであると考えられてきているが, その本態に関しては依然として明らかでない. 一方, 1951年EckerとRicmenschneider7) によって最初にarterial spasmの名称で報告されて以来, この現象は脳動脈壁平滑筋の攣縮によって生ずるという前提のもとに研究が進んでおり, 脳動脈攣縮と呼ばれる現象が果たして, そのacute phaseのみならずchronic phascにおいても動脈壁平滑筋の機能的収縮による動脈内腔の狭小化であるか否かというきわめて基本的な問題がいまだに解明されていない.
ISSN:0470-8105