脳血管攣縮の成因と治療に関する実験的, 臨床的研究

脳動脈瘤破裂後に発生する脳血管攣縮は, 患者の生命, 予後に重大な影響を与えることは周知の事実である9,44). しかしその成立機序に関して不明な点が多く, また治療についても有効な手段がまったくないといってよいのが実情であろう. 現在, 血管外に流出した血液が脳血管攣縮の発生に大きな役割を果しているとする考えは, 次第に広く信じられるようになった. すなわち脳血管攣縮に関する実験的研究で露出された脳底動脈に直接か, あるいはクモ膜下腔に血液の注入を行ない, 直視下における写真撮影や脳血管撮影で攣縮を確認した報告は多い11,34,45). また血液をクモ膜下腔に注入するかあるいは血管を穿刺し脳...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 16; no. 2; pp. 103 - 114
Main Authors 宮岡誠, 野中利房, 渡辺博, 千ケ崎裕夫, 石井昌三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1976
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ISSN0470-8105

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Summary:脳動脈瘤破裂後に発生する脳血管攣縮は, 患者の生命, 予後に重大な影響を与えることは周知の事実である9,44). しかしその成立機序に関して不明な点が多く, また治療についても有効な手段がまったくないといってよいのが実情であろう. 現在, 血管外に流出した血液が脳血管攣縮の発生に大きな役割を果しているとする考えは, 次第に広く信じられるようになった. すなわち脳血管攣縮に関する実験的研究で露出された脳底動脈に直接か, あるいはクモ膜下腔に血液の注入を行ない, 直視下における写真撮影や脳血管撮影で攣縮を確認した報告は多い11,34,45). また血液をクモ膜下腔に注入するかあるいは血管を穿刺し脳血管写上で3日以上にわたるlate spasmを観察した研究も少なくない13,27,39). しかしこうした方法は今回われわれの目的とした血液髄液混合液中の各成分を生化学的に分析し, その各々のlate spasmに対する役割を分析するという目的には定量性に欠けるという点で不適である.
ISSN:0470-8105