実験的クモ膜下出血後の頭蓋内圧の変化

クモ膜下出血早期の急激な頭蓋内圧変動に耐えた症例において, 頭蓋内圧を連続的に記録していると, 出血第2~4病日までを頂点として, 頭蓋内圧における基本圧の上昇と急激な圧変動が観察される. この二次性頭蓋内圧亢進の原因として, 髄液腔に出た血液が場所占拠性の物質として働くほかに, 血液自体が有害物質として働き, 二次性頭蓋内圧亢進を生じさせていることが推定される. われわれはイヌを用い, クモ膜下腔に血液またはその分解産物を注入し, その後の頭蓋内圧を全身血圧とともに長時間(24~48時間)にわたって観察した. 頭蓋内圧の経過では, 全血を注入した場合, 300mmH_2 O前後の頭蓋内圧を維...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 15; no. suppl; p. 139
Main Authors 藤井博之, 丸川忍, 北野哲男, 古林秀則, 林実, 山本信二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1975
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ISSN0470-8105

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Summary:クモ膜下出血早期の急激な頭蓋内圧変動に耐えた症例において, 頭蓋内圧を連続的に記録していると, 出血第2~4病日までを頂点として, 頭蓋内圧における基本圧の上昇と急激な圧変動が観察される. この二次性頭蓋内圧亢進の原因として, 髄液腔に出た血液が場所占拠性の物質として働くほかに, 血液自体が有害物質として働き, 二次性頭蓋内圧亢進を生じさせていることが推定される. われわれはイヌを用い, クモ膜下腔に血液またはその分解産物を注入し, その後の頭蓋内圧を全身血圧とともに長時間(24~48時間)にわたって観察した. 頭蓋内圧の経過では, 全血を注入した場合, 300mmH_2 O前後の頭蓋内圧を維持して回復するものが多い. 血球成分と血薬に分離して, それぞれを注入した場合, 血漿では頭蓋内圧亢進はほとんどおこらないが, 血球成分では全血を注入した場合とほぼ類似の経過をとる.
ISSN:0470-8105