外減圧開頭術後の頭蓋形成術
昭和43年5月以来, 種々の疾患に対する外減圧開頭術後の, 主としてメチルメタクリレートを用いた頭蓋形成術300余例を経験しているが, ありふれた手技でありながら, 未解決の問題の少なからぬことを痛感している. 今回はつぎの各項目につき検討を行なった. ここでは陥没骨折に対する頭蓋形成術は含まれていない. 低髄液圧症候の発生のメカニズム:頭蓋内圧亢進に関する研究は極めて多いが, 逆の病態-低髄液圧症に関しては知見が乏しく低髄液圧症候群と言われるものは, 起立時の頭痛以外発生のメカニズムが不明であり, その存在すら疑問である. 減圧開頭術後皮膚弁の観察より頭蓋内圧の変動を知りうるところより, 皮...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 15; no. suppl; p. 116 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1975
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ISSN | 0470-8105 |
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Summary: | 昭和43年5月以来, 種々の疾患に対する外減圧開頭術後の, 主としてメチルメタクリレートを用いた頭蓋形成術300余例を経験しているが, ありふれた手技でありながら, 未解決の問題の少なからぬことを痛感している. 今回はつぎの各項目につき検討を行なった. ここでは陥没骨折に対する頭蓋形成術は含まれていない. 低髄液圧症候の発生のメカニズム:頭蓋内圧亢進に関する研究は極めて多いが, 逆の病態-低髄液圧症に関しては知見が乏しく低髄液圧症候群と言われるものは, 起立時の頭痛以外発生のメカニズムが不明であり, その存在すら疑問である. 減圧開頭術後皮膚弁の観察より頭蓋内圧の変動を知りうるところより, 皮膚弁の著明な陥凹をきたした者の他覚的神経症状が頭蓋形成術によりどのような影響を受けるか検討し, いわゆる低髄液圧症候の本体を探究した. 対象とした症例は, 皮膚弁の陥凹しているもの64例, 平らなもの8例, 頭蓋曲面に一致するもの16例, 膨隆しているもの12例の計100例であり, 頭蓋形成術が改善せしめたと思われるものは4例で陥凹例に3例, 平らなものに1例あり, そのうちの1例では2回にわたりこれを観察した. 以上より他覚的低髄液圧症候は存在しても稀で, 発生メカニズムは低髄液圧症そのものによるより骨欠損部における頭蓋内外の圧差による脳の変形によるものと思われる. 2才未満の頭蓋形成術:7例経験したがシャント術を3例に行なったほか, 人工骨骨折3例, 治療困難な皮下貯留3例, 感染2例等多くの問題があった. 人工骨の骨折例:7例あり5才以下5例と, 13才および20才例である. 1例は両側の骨折とさらに一側の骨折をくりかえし, ワイヤー入りの人工骨を作製した. 人工骨の感染:10例(約3%)にみられたがうち, 8例は2ヵ月目までに行なわれ, 原因疾患によるより他の要素が重要である. |
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ISSN: | 0470-8105 |