12 ナノ秒パルス波レーザー光励起Photodynamic treatmentによる細胞内物質導入
【目的】細胞内に物質を導入するためには, 一時的に細胞膜の透過性を亢進させる, 即ち修復可能な細胞膜損傷を誘起する手法が必要となる. 本研究の目的はパルス波レーザー光励起PDTにより過渡的な細胞膜の局所微細損傷を誘起させ, この損傷部位からPlasmid DNAなど各種の巨大分子の導入が可能かどうかを検討することにある. 【試料および実験方法】24-well plateに2×106cells/wellのHeLa細胞を播種し18時間培養後試料として供した. レーザー光のパワー密度は30mW/cm2, 照射量は0.5-2J/cm2とし, 照射中のみHpDを10μg/mlで接触させた. 照射後の試料...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 24; no. 4; p. 357 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本レーザー医学会
2003
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Summary: | 【目的】細胞内に物質を導入するためには, 一時的に細胞膜の透過性を亢進させる, 即ち修復可能な細胞膜損傷を誘起する手法が必要となる. 本研究の目的はパルス波レーザー光励起PDTにより過渡的な細胞膜の局所微細損傷を誘起させ, この損傷部位からPlasmid DNAなど各種の巨大分子の導入が可能かどうかを検討することにある. 【試料および実験方法】24-well plateに2×106cells/wellのHeLa細胞を播種し18時間培養後試料として供した. レーザー光のパワー密度は30mW/cm2, 照射量は0.5-2J/cm2とし, 照射中のみHpDを10μg/mlで接触させた. 照射後の試料は新鮮培地で洗浄し, Plasmid DNA(Lac Z), Phalloidin(TM), FITC-dextran(MW=4000-70000)を接触, 細胞膜透過性や分子導入効率を蛍光顕微鏡, フローサイトメーターにて評価するとともに, 損傷部位やサイズの検討のためSEM観察を行った. 細胞傷害効果の評価はMTTassayによった. 【結果および考察】本実験のPDTの細胞傷害率は20-30%の範囲であった. PDTを行った試料では, 細胞膜上に複数の微小孔(0.1μm程度), および径1-2μmにも及ぶ孔を有する細胞が観察された. PDT後にPhalloidin(TM)染色を行った細胞ではPhalloidin(TM)分子の細胞膜透過を意味するF-actinが観察された. PDTを行った群のFITC-dextranの取り込み量は無処置群のそれよりも有意であった. またPlasmid DNAの接触のみの群では遺伝子発現細胞を観察することができなかった. 一方, PDT後プラスミドDNAを接触させた群では発現細胞を認めた. ナノ秒パルス波励起PDTは細胞膜の一時的なPermeabilizationを可能にし, 巨大分子の細胞内導入が可能な手法であると考えられた. |
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ISSN: | 0288-6200 |