2 PDTによるHPV感染の消退と再感染

【目的】近年, CINの若年化傾向に伴い, 従来行われてきた円錐切除術や高出力レーザー治療などでは頚管腺の消失や, 術後の瘢痕化, 狭窄などの問題が指摘され, 特に妊孕性温存を希望する患者に対してPDTが臨床応用されるようになった. そこで, PDTがCIN患者のHPV感染に及ぼす影響について検討した. 【対象, 方法】PDTを施行し1年以上経過した38例のCIN患者(中等度異形成2例, 高度異形成21例, 上皮内癌14例, 微小浸潤癌1例)を対象とした. PDT施行前後においてコルポスコピー, 細胞診, 組織診を行うとともに, 細胞診検体から抽出したDNAをL1領域に対するコンセンサスプライ...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 24; no. 4; p. 340
Main Authors 山口聡, 小島淳美, 田中達也, 市村草, 新谷潔, 竹森正幸, 西村隆一郎, 長谷川和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 2003
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Summary:【目的】近年, CINの若年化傾向に伴い, 従来行われてきた円錐切除術や高出力レーザー治療などでは頚管腺の消失や, 術後の瘢痕化, 狭窄などの問題が指摘され, 特に妊孕性温存を希望する患者に対してPDTが臨床応用されるようになった. そこで, PDTがCIN患者のHPV感染に及ぼす影響について検討した. 【対象, 方法】PDTを施行し1年以上経過した38例のCIN患者(中等度異形成2例, 高度異形成21例, 上皮内癌14例, 微小浸潤癌1例)を対象とした. PDT施行前後においてコルポスコピー, 細胞診, 組織診を行うとともに, 細胞診検体から抽出したDNAをL1領域に対するコンセンサスプライマーを用いたPCR法によって増幅し, HPVのtypingを行った. 【成績】PDTによる治療効果判定は3ヶ月後のコルポスコピー, 細胞診, 組織診で行い, 34例(89.5%)が正常化したが, 4例に軽度異形成を認めた. この4例も6ヶ月後には病変が消失した. HPV感染については, PDT施行前, 38例中36例が陽性(16型14例の他, 18, 31, 35, 51, 52, 53, 58, 61, 70, 82型や混合感染)を示し, 2例は陰性であった. PDT施行3ヶ月後では, 36例中28例が陰性化したが, 8例でHPVが検出され, そのうち2例は治療前と同じ型で, 6例は異なる型が検出された. さらに, 6ヶ月後には陰性化していた28例中4例において, 治療前とは別の型のHPV感染が確認された. 12ヶ月後のHPV感染陽性率は3ヶ月後, 6ヶ月後と同じ21%(8/38例)であった. 【結語】PDTはCINに対して有効な治療法であり, HPV感染をある程度消失させる効果が期待できるが, 再感染の可能性があり, 厳重な経過観察が必要である.
ISSN:0288-6200