Er:YAGレーザーによる窩洞形成および偶発露髄に伴う歯髄変化
「緒言」Er:YAGレーザーによる窩洞形成および窩洞形成時の偶発露髄が歯髄に及ぼす影響について, 成犬歯牙を用い病理組織学的に検討した. 「方法」全身麻酔を施した成犬歯牙に対して, Er:YAGレーザー装置を用いたレーザー群と回転切削器具を用いた対照群との比較検討を行った. レーザー群の照射条件は, 100mJ/Pulse(10pps)に設定し, Black V級窩洞を形成した. さらに露髄面は, 窩洞形成後同条件で窩底部を穿孔させて作製した. また対照群は, 回転切削器具で窩洞形成を行い, 露髄はラウンドバーで作製した. 露髄面に対しては, 止血乾燥後, 水酸化カルシウム製剤を応用し, 裏層...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 21; no. 3; p. 291 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
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日本レーザー医学会
2000
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Summary: | 「緒言」Er:YAGレーザーによる窩洞形成および窩洞形成時の偶発露髄が歯髄に及ぼす影響について, 成犬歯牙を用い病理組織学的に検討した. 「方法」全身麻酔を施した成犬歯牙に対して, Er:YAGレーザー装置を用いたレーザー群と回転切削器具を用いた対照群との比較検討を行った. レーザー群の照射条件は, 100mJ/Pulse(10pps)に設定し, Black V級窩洞を形成した. さらに露髄面は, 窩洞形成後同条件で窩底部を穿孔させて作製した. また対照群は, 回転切削器具で窩洞形成を行い, 露髄はラウンドバーで作製した. 露髄面に対しては, 止血乾燥後, 水酸化カルシウム製剤を応用し, 裏層, 修復を行い施術を完了した. 観察期間は, 7日間および90日間としヘマトキシリンーエオジン重染色を施し光学顕微鏡下に病理組織学的検討を行った. さらに微生物の存在状況および新生庇蓋硬組織について検索した. 「結果」レーザー応用の窩洞形成群, 露髄群共に歯髄に重篤な炎症性変化は観察されず, 対照群と比較して顕著な差は認められなかった. また, 露髄群でのレーザー群は, 短期では対照群と比べ新生庇蓋硬組織の形成は低い傾向が認められた. しかし, 長期では, 対照群と同様に露髄部の硬組織による完全閉鎖が全般に観察された. 「結語」本実験条件下において, Er:YAGレーザーによる窩洞形成および窩洞形成時の偶発露髄による歯髄損傷および長期における新生庇蓋硬組織の形成は, 回転切削器具と同程度であると考えられた. |
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ISSN: | 0288-6200 |