舌病変に対するKTP/YAGレーザー治療による臨床評価
「目的」口腔領域において, 微小血管に富んだ舌に対するレーザー手術は良好な止血効果が期待できるほか, 切開時の筋組織収縮現象が生じにくいことからその適応が最も高いと考えられる. しかし, 使用するレーザーの種類によって, その波長の違いから生体に対する反応は異なる. 今回は, 舌病変に対してKTPレーザーを用いて治療を行い, その有用性について評価するとともにCO_2 レーザーによる治療と比較検討した. 「対象と方法」KTPレーザー群は白板症8例, 扁平上皮癌5例, 線維腫3例, その他1例, 合計17例で, 5~15Wにて切開または蒸散した. 一方, CO_2 レーザー群は白板症8例, 扁平...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 20; no. 3; p. 300 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本レーザー医学会
1999
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Summary: | 「目的」口腔領域において, 微小血管に富んだ舌に対するレーザー手術は良好な止血効果が期待できるほか, 切開時の筋組織収縮現象が生じにくいことからその適応が最も高いと考えられる. しかし, 使用するレーザーの種類によって, その波長の違いから生体に対する反応は異なる. 今回は, 舌病変に対してKTPレーザーを用いて治療を行い, その有用性について評価するとともにCO_2 レーザーによる治療と比較検討した. 「対象と方法」KTPレーザー群は白板症8例, 扁平上皮癌5例, 線維腫3例, その他1例, 合計17例で, 5~15Wにて切開または蒸散した. 一方, CO_2 レーザー群は白板症8例, 扁平上皮癌15例で, これらに対しては10~30Wにて切開または蒸散した. 「結果」両君とも舌の切開や蒸散は容易であったが, 切開時の止血効果はKTPレーザー群の方が優れていた. しかし, KTPレーザー群の方が術後疼痛はやや強い傾向にあり, 術後出血も多かった. 術後の形態回復は両群とも良好であり機能障害は軽度であった. 「結語」KTPレーザーによる切開は, 術中の止血がほぼ完壁であるため結紮等の止血操作を必要としなかったが, 術後数日を経過してから切除部に変性壊死がみられ, 術後の疼痛や出血を来したと考えられた. |
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ISSN: | 0288-6200 |